転職回数が多くて、後ろめたい。各会社の転職理由を正直に伝えたら、面接官が苦い表情になった。自分が「弱点」だと自覚している経歴について聞かれると、うまく答えられず、面接に苦手意識を感じる人も多いかと思います。転職回数が多い人は、それまでの経歴を「一つの物語」として話すことがポイントです。準備なしで面接に臨むと、学歴・資格・職歴といった純粋なスペック勝負になります。スペックで劣っている場合、それは避けたい展開です。事前に「自分の物語」を準備しておくことで、スペックではなく「この人と働きたい」と思わせる面接ができるようになります。
この記事では、転職回数が多い人でも使える「採用されるための戦略」を、私の実体験を交えて紹介します。集団面接で20代と並べられながらも採用された…そんな体験談です。しっかり準備を整えて、自分と相性のよい会社への転職を目指しましょう。
面接官が本当に見ているもの
まず最初に面接とは何なのか?と考えたことはありますか?一般的には、「採用者を決定するための場所」「お互いの相性確認の場」と認識されていますが、本質はもっとシビアです。

面接官は、会社の代理人としてその場にやって来ており、「良い人を採用したい。危険人物になりうる人間は採用したくない」と、臨んでいます。つまり面接官は、候補者の本質を見極めようとしており、気さくな雰囲気を出しつつ、こちらを警戒している状態だということです。「面接官の警戒を解くこと」と「好かれること」の2つを同時にクリアすることが、面接では重要。この軸を意識するだけで、面接で話す内容が一段階レベルアップします。
経歴の弱点は、必ず確認される
自分の経歴の中で、ちょっと後ろめたい箇所や、聞かれたら嫌だな…と思うものがあると思います。しかし面接を受ける以上、その弱点については必ず聞かれます。
■よくある弱点
・転職回数が多い
・無職期間が長い
・正社員で働いた経験がない
■よくある理由
・残業が多すぎて体を壊した
・職場いじめにあって就職することが怖かった
・正社員に受からなかった
色々な背景があるとは思いますが、装飾なしにそのまま伝えた場合、話せば話すほど面接の空気は冷え込んでしまいます。必ず聞かれる弱点を、「物語の一部」としてどれだけ伝えることができるか。嘘はつかない。でも、弱点を『自分を構成した物語の一部』として伝えることができれば、相手が自分に抱く印象は大きく変わってきます。
悪口の羅列より、物語を作る

例えば、弱点について触れられたとき、正直に話そうとすると、次のようになります。
・人間関係が悪かった
・職場でいじめにあった
・無償労働が当たり前で嫌だった
・自分の成長が見込めなかった
・給与が低すぎた
これらがすべて事実だったとしても、聞いている面接官から見れば、「不満が多い人」「コミュニケーションが苦手な人」。そして、「嫌になればすぐ辞めてしまう人」として映ります。
面接でやるべきことは「私は悪くない」と主張することではありません。「面接官の警戒を解くこと」と「好かれること」の2つを、同時にクリアする。その軸を忘れずに振る舞うことが大切です。
「転職回数が多いですね?」に対し、私が話した「物語」
例えば、転職回数が多い私が、面談で話した物語は次のようなことです。前半は転職回数が多い理由について、後半は志望動機の一部を含んで話しました。
過去に働いていたいくつもの会社は、家族経営や小さい中小企業が多く、帳簿は手書き、PCが一人1台支給されていないことが当たり前の会社でした。効率的な環境とは程遠く、無償の早出残業が当たり前。みんな疲弊していたので、効率化できないかと提案もしましたが「今までこうだったから」と変化には至りませんでした。会社の文化や考え方と、自分の仕事への姿勢が合わなかったのだと思います。別の会社へ行けば、少しは違うかもと転職しましたが、転職先に小さい会社ばかりを選んでいたので、同じような結果が続きました。「別の会社へ行けば、効率的な環境で働けるかも」と安易に転職していたことについては、今は恥ずかしく思っています。
「小さい会社でこの状態なのに、大きい会社はどうやってまわしているんだろう?」と、ふと疑問を抱き、派遣社員として大企業で働くことにしました。組織としての統率や業務配分に衝撃を受け、気がつけば2年以上同じ部署で働くことができました。自分に合う働き方がどのようなものかを理解でき、組織として統率の取れている会社で今後は長く働きたいと思い、自分の意志で更新を終了し、今に至ります。御社の組織としての統率力の中で、私もぜひ一員として働きたいと思っております。
転職履歴や理由を話す中で、一度も反省の言葉がないと「転職回数については反省してないのかな?」と不信感を抱かれます。話の途中には反省の言葉も添えながら、後半の物語に移ります。
嘘は一つもありません。事実の繋ぎ方を整えることで、「紆余曲折あったけど、ここにたどり着いた人」という物語が生まれ、面接官に「この人の人生」として受け取ってもらえるようになります。
絶対に口にしてはいけないこと
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この物語を語る中で一つ、絶対に守るべきことがあります。前職の悪口は絶対に言わない。これは鉄則です。理由は単純で、「この人はうちの悪口も言いふらす可能性のある人物だ」と、警戒されるためです。前職の悪口を言わないことで、自分は口が硬い人間だと示し、面接官にとって好ましい人物像となります。
物語に対して、質問された場合
物語を話せば、その話の中の出来事に対して質問をされるため、事前に「答え方」を用意しておくことが鉄板です。熱意と長所が、さりげなくアピールできる回答がベスト。ここのキャッチボールが上手くいくと、場の雰囲気が穏やかになります。
■なぜ小さい会社ばかりを選んだのですか?
私の最終学歴は高卒です。規模の大きい会の応募条件には、大卒や専門学卒と記載があることがほとんどです。ですが、今回御社が募集をしているということを知り、人生の最大のチャンスだと思い、応募いたしました。
■提案しても受け入れてもらえなかったんですか?
はい。私は「縁の下の力持ち」タイプで守備力は高いのですが、相手を自分のペースに巻き込んで改革していくような攻撃力は低めなので、そこはうまくいきませんでした。1を1のままキープするような役割が、私の得意ゾーンですね。
■大企業で衝撃を受けたんですね
守秘義務もあるので詳しくお話はできないのですが…衝撃でした。きっちりとした役割分担があり、各自の仕事がきちんと噛み合って、全員の業務スピードが上がっていくような、そんな働き方に衝撃を受けました。
※「守秘義務があるので詳しくは話せない」というひと言は、一石二鳥のフレーズです。これ以上深堀りされることはなく、同時に口の硬い人間であることをアピールできます。
このようなやり取りを続ける中で、弱点はいつしか『物語の一部』として自然に収まっていきます。面接官の目線が、『転職回数の多い人』から『この人自身』へと変わっていくのを感じられるはずです。
ブラックと言わずに、察してもらう技術
自己紹介、志望動機、過去の職歴、長所短所など。一通りの流れを終えると、ほとんどの企業では最後に「逆質問」の時間があります。「何か聞いておきたいことはありますか?」という、候補者側から質問ができる時間です。弱点を持っている人が、この時に質問すべきことは2つ。
①意欲を間接的に伝える質問
②職場の実態を確認する質問

ポイントは、②の質問に回答してもらえたら、そこにもう1ラリー追加質問をすることです。②に該当する質問は、以下のような内容です。
・始業前には、どのような準備がありますか?
・お昼ご飯を食べる場所は、自分の席でしょうか?
・掃除当番は、どのような順番で回ってきますか?
・残業の有無は、どのタイミングで決まりますか?
・休日の交代出勤はありますか?
・発熱など、体調不良の場合は休めますか?
例えば、やり取りとしては次のような流れになります。
■「お昼ご飯は〜」
こちらから質問をして回答を得られたら、「それは、1時間きちんと休憩していいということでしょうか?素敵ですね」と、笑顔と少しの驚きを含んで返します。
■「掃除当番は〜」
回答内容によって返し方を変えるパターンもあります。
・当番が全員平等に回る場合→「全員平等に回るんですね。よかったです」
・外部業者が対応する場合→「掃除のための早出や残業がないんですか?素敵ですね」
■「発熱〜」
「安心しました」と、安堵した表情で返します。
このやりとりを追加するだけで、今まで働いてきた職場の背景を一瞬で伝えることができます。前職の悪口を一切言わずに、です。私が面接を受けたときは、「うちの会社はしっかり働いて、きちんと休める会社です。一緒に頑張りましょう」と、面接官からの人間味あふれる回答で締めくくられました。
面接は「自分の物語」と気持ちが大切
転職時には、年齢や所持資格、同職種での職歴有無が有利に働くことは否めません。ですが、事前準備と物語の伝え方次第では、「スペックで負けていた人」が採用されることもあります。

私が今の会社に採用された面接は、「紹介予定派遣の集団面談」でした。当日会場に行ってみたところ、同じ派遣会社から来た候補者が何人もいました。しかも全員、私より若くてフレッシュな20代。しかも職種経験あり。
業種も職種も未経験の私とは、スペックに雲泥の差があります。そんな圧倒的有利な人たちと今から横に並べて比べられる。集団面談と聞いていなかったこともあり、正直なところ「地獄かな…」と思いました。ですが、ここにいる誰よりも、この会社で働きたいと思っているのは私。この会社に対する思いを、事前準備していた物語を正面から伝え切ろう。という気持ちで臨みました。結果、採用されたのは私でした。
10年以上同じ会社で働けている今
今思えば、あのとき採用してもらえたのは、おそらくワンチャン枠だったと思います。良く言えば、「今は他者より劣っているけど、育てれば光る」と言ったところでしょうか。あのとき気持ちを伝えきった結果、今も自分に合うホワイトな職場で10年以上働けています。

学歴なし。転職回数多め。業種も職種も未経験。それでも採用に結びついた理由は、事前準備と「自分の物語」、そして「絶対にここで働きたい」という気持ちだったと思います。転職回数が多い人でも、他の弱点で悩んでいる人でも、事実は変えられなくても…伝え方は変えられます。自分のこれまでの経験という点を、線でつないでみてください。そこには、あなただけの物語が生まれます。その物語を、一番の語り手として、相手の心に届けてみましょう。


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