「退職するときって、会社からたくさん書類をもらうんでしょ?」「多すぎて…正直よく分からない」そんなふうに思っていませんか?退職時に会社から受け取る書類は多く、受け取り漏れがあると、退職後の手続きが止まってしまうこともあります。
目を通しておけば、「あれ?もらってない!」「いつもらえるの?遅くない?」と、退職後に焦ることを防げます。退職後の手続きをスムーズに進めるためにも、ぜひ読んでみてください。
退職時に受け取る6つの書類
まず、退職時に会社から受け取る書類は以下の6つです。

この中で特に重要なのは、離職票と健康保険資格喪失証明書。失業保険と、健康保険の切り替え手続きに使う書類のため、届かないと手続きが止まってしまいます。
①離職票(雇用保険被保険者離職票)
離職票は、失業保険をもらうために必要な書類です。ハローワークに持っていく書類、と言えばピンと来るかもしれません。転職先が決まっていても、いなくても、必ず受け取ることをおすすめします。転職先が、必ずしもいい会社とは限りません。「入ってみたら想像と全然違った」と、1〜2日で辞めたくなることもあります。私もそうでした。離職票さえ手元にあれば、いざというときすぐに失業保険の申請に動けます。
■いつ届く?
自分が退職した後、会社の担当者がハローワークへ行き手続きして、その後に自分の元へ郵送されてきます。届くまでの目安は、退職日から10日~2週間ほどです。
■届かないときはどうする?
一般的な目安期間になっても届かない場合、まずは会社の人事もしくは総務に電話をします。それでも届かない場合は、ハローワークに相談すれば、会社に催促してくれます。
■会社へ電話連絡したときの伝え方
「お世話になります。◯月に退職した”ふーとも”です。離職票について確認したいことがあるので、人事か総務の方へ取り次いでいただけますか?」
■退職理由が「会社とのトラブル」で、会社へ連絡できない場合
退職から2週間経過しても届かない場合、ハローワークへまずは電話で相談します。離職票が届かないが、会社へ電話できない事情があることを合わせて伝え、ハローワークから会社へ督促の連絡をしてもらいます。
仮手続きという選択肢
無職期間中は、失業保険が頼りという人も多いかと思います。離職票が届かず申請ができなければ、支給が始まるのもそれだけ遅くなってしまいます。そんなときに使えるのが「仮手続き」です。これは、離職票が手元になくても、先にハローワークで失業保険の申請を進めておける制度のこと。離職票が届かず、ただ時間だけが過ぎてしまう…ということを防げます。

退職日の翌日から数えて12日目以降なら、仮手続きを進めることができます。住んでいる地域を管轄するハローワークに電話で問い合わせれば、必要な書類や流れを教えてくれます。「失業保険の仮手続きをしたいのですが、どのように進めていけばいいでしょうか?」と伝えれば、淡々と手続きは進んでいくので、心配する必要はありません。
ここで一つ注意したいことがあります。仮手続きには「退職を証明できる書類」が必要です。具体的には、健康保険資格喪失証明書(⑤で解説)や退職証明書(⑥で解説)。これらは退職時に自動で発行されないことも多いので、「仮手続きをする可能性があるな」と思ったら、退職時に会社へ発行を依頼しておくのが安心です。
②源泉徴収票
1年間(1月〜退職月まで)の間に会社から支払われた給与と、納めた所得税が書いてある書類です。税金の精算に使います。年内に転職した場合は、転職先に渡せば年末調整してもらえます。年内に転職しなかった場合は、確定申告のときに自分で使います。源泉徴収票は、一般的には「退職すれば会社が自動的に発行してくれる書類」です。
■いつ届く?
最後の給与支払いの前後にあわせて発行されることが多く、実際に届く目安としては退職日から1〜3週間。退職後1ヶ月以内が法律上の期限となっています。
■届かないときはどうする?
一般的な目安期間になっても届かない場合、会社の経理もしくは人事に電話をします。それでも届かない場合、税務署へ相談します。「源泉徴収票不交付の届出書」を税務署に提出すれば、会社へ指導が入り、源泉徴収票が発行されます。
■会社へ電話連絡したときの伝え方
「お世話になります。◯月に退職した”ふーとも”です。源泉徴収票について確認したいことがあるので、経理か人事の方へ取り次いでいただけますか?」
■退職理由が「会社とのトラブル」で、会社へ連絡できない場合
一定期間経っても源泉徴収票が届かないけど、以前の会社に連絡できない事情がある。そんな場合は、税務署へ相談します。先にあげた「源泉徴収票不交付の届出書」を提出し、税務署から会社へ指導を行ってもらいます。
■税務署へ連絡するときの伝え方
「源泉徴収票が発行されないので、源泉徴収票不交付の届出書を出したいのですが、どのように手続きをすればいいでしょうか?」と尋ねます。教えてもらった通りに手続きを進めれば、大丈夫です。
③雇用保険被保険者証
自分が雇用保険に入っていたことを証明する、小さい紙の書類です。転職先での雇用保険の加入手続きに使用し、地域によっては失業保険の申請時に必要になることもあります。
■いつもらえる?
入社時に会社へ提出し、そのまま保管されていることが多いため、退職時に返却されます。最終出社日に受け取るのが一般的です。
■紛失したときは?
万が一紛失したときは、ハローワークへ行けば即日再発行できます。本人確認書類が必要です。
④基礎年金番号通知書
公的年金に関する情報が載っている書類です。転職先での厚生年金加入手続きや、転職先が決まっていない場合は国民年金へ切り替えるときに必要になります。2022年3月までは「年金手帳」として発行されていた書類ですが、それ以降は「基礎年金番号通知書」という紙の書類に切り替わっています。どちらも役割は同じです。
■いつもらえる?
会社保管だった場合は、退職時に会社から返却されます。会社によっては基礎年金番号通知書は預からず、自分で保管となっている場合もあります。保管しているのは会社か自分か、事前に確認しておきましょう。
■紛失したときは?
年金事務所で再発行可能。年金事務所での手続きが、一番早い再発行ルートです。本人確認書類を持参して手続きすれば、窓口で受け取れる場合は即日、郵送の場合は1〜2週間で自宅へ届きます。心配であれば、年金事務所へ電話で問い合わせ、手続きの流れを確認しておけば安心です。
⑤健康保険資格喪失証明書
国民健康保険(国保)に切り替えるときや、家族の扶養に入るときに必要な書類です。転職先が決まっており、切れ目なく新しい健康保険に入る場合は、この書類は不要です。国保の加入手続きは、退職日の翌日から14日以内が原則。この書類が届かないと、手続きが進みません。
■いつ届く?
退職後1週間前後で郵送、もしくは最終出社日に手渡しされます。
■届かないときはどうする?
退職から1週間過ぎても届かない場合は、会社に早めに連絡しましょう。それでも届かず、退職から2週間経っても届かない場合は、市区町村の窓口へ相談を。対応は自治体によって異なるため、事前に電話で尋ねるのが確実です。「会社から資格喪失証明書が届かないのですが、手元にある他の資料で手続きを進められますか?」と聞いてみるのが一番早いです。
「国保加入は原則14日以内」となっていますが、過ぎてしまったら加入できないわけではありません。さかのぼって加入扱いになるため、まずは電話相談から動き出せば大丈夫です。
⑥退職証明書
「いつ・なぜ退職したか」を証明する書類です。自動で発行される書類ではないため、必要な場合は会社に依頼して発行してもらいます。転職先から提出を求められたときや、失業保険の仮手続きに使えます。また、国保切り替えの代替書類として認めてくれる自治体も多いです。
■いつ届く?
退職後1週間前後で郵送、もしくは最終出社日に手渡しされます。
■届かないときはどうする?
発行を依頼したのに、退職から1週間過ぎても届かない場合は、会社に確認の連絡をしてみましょう。
■会社へ電話連絡したときの伝え方
「お世話になります。◯月に退職した”ふーとも”です。退職証明書について確認したいことがあるので、人事か総務の方へ取り次いでいただけますか?」
■退職理由が「会社とのトラブル」で、会社へ連絡できない場合
労働基準監督署や、総合労働相談コーナー(各都道府県の労働局にある無料相談窓口)へ相談できます。まずは相談ハードルが低めの「総合労働相談コーナー」から動いてみるのがおすすめです。電話相談も可能で、匿名でも話を聞いてもらうことができます。
退職前にやっておきたい3つの準備
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退職時は受け取る書類が多いうえ、名称も聞き馴染みのないものばかり。どれを受け取ったのか、分からなくなってしまうことも。事前にほんの少し準備しておくことで、この混乱を防ぐことができます。ここから先は、退職前にできる3つの準備を紹介します。
①「受け取る書類リスト」を紙に書き出す
最終出社日の1週間前までに、この記事の6つの書類を紙のメモ帳に書き出しておきましょう。受け取った書類にチェックを入れていけば、受け取り漏れを防ぐことができます。スマホのメモ機能でもいいですが、会社で確認することも考えれば、紙のメモ帳がおすすめ。「会社でスマホを触る=遊んでいる」と見る人もいるため、手書きのほうが無難です。
②「届く目安日」をカレンダーに入れておく
退職日に直接受け取れなかった書類は、退職後に郵送で届きます。届く目安日を、スマホのカレンダーに登録しておきましょう。通知設定もしておけば、「あれ?まだ届いてない」と自分で気づくことができます。
③ 届いた書類は一箇所にまとめる
受け取った書類は、一つのクリアファイルにまとめておきましょう。失業保険の申請はハローワーク、源泉徴収票は転職先や税務署、健康保険資格喪失証明書は市区町村の窓口。使う場所もタイミングもバラバラなので、ひとまとめにしておかないと「あの書類どこ行った?」問題が起こりやすくなります。クリアファイルの表に「退職書類」と書いて、届いた書類を入れていくだけ。たったこれだけで、「届いた書類、どこにやったっけ…」と焦ることを防げます。
書類が揃ったら、次のステップへ
退職時の書類は、「その書類を入手すること」自体が目的ではなく、その後の手続きを進めるための「手段」です。もし書類の入手がスムーズに行かなくても、大丈夫。それぞれの手続きの該当窓口に相談すれば、救済措置はきちんと用意されています。
「書類が届かないから、もう手遅れかも…」と下を向く必要はありません。該当の窓口に電話をして、きちんと手続きをしたいと思っていることを伝えてみてください。

失業保険の申請、年金の切り替え、国保への加入、税金の精算。焦らず、一つずつ。退職後の生活を守るための手続きを、順番に進めていきましょう。


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