仕事内容は嫌いじゃない。それなのに、職場の特定の人と関わるだけで、どっと疲れてしまう。「嫌い」と言い切るほどではないけれど、できれば関わりたくない。そんな気持ちを抱えたまま働いていませんか。職場の人間関係の悩みは、感情だけで抱え込むと身動きが取れなくなります。
かつて同じように悩んでいましたが、人間関係で無理をしない判断をしたことで、今は働きやすい環境に落ち着きました。
本記事では、上司・先輩・同僚・後輩といった関係別に、 対処法と見切りをつけるべき判断基準をまとめました。人間関係の悩みを可視化することで、「このまま続けるべきか」「別の環境を考えてもいいのか」を感情ではなく、自分の軸で考えられるようになるはずです。
上司

上司との関係は、業務配分・指示内容・人事評価など、仕事全体に影響しやすいのが特徴です。業務上のやり取り全般がストレスに変わっていくため、個人の努力では改善が難しいこともあります。たとえば、次のような状況では「あなたの受け取り方の問題」と一蹴されることも多く、立場上反論が難しいです。
・必要以上に強い言い方をされる
・会話が通じない
・業務内容が偏っている
さらには人事評価上の不利益を被ることもあり、間接的な圧力を感じやすくなります。
また、上司との関係が良くない場合、当人同士だけの問題で終わらないことも。上司の態度を見た周囲が自分に対して同じような態度を取り、職場全体に居心地の悪さを感じるようになります。いつの間にか「職場の人たちがストレス」に変わり、職場へ行くこと自体が苦しくなるといった悪影響が出てきます。
小さな対処法
上司との関係がスムーズにいかない場合は、全面的に改善しようとせず、自分へのストレスが小さくなるように行動することが大切です。
・口頭は避け、メールやチャットを活用
・会話は業務関係に絞る
・事実ベースで簡潔に話す
関係性を良くすることではなく、距離感を保つことを目的に対処します。
改善が見込めるかの判断基準
上司との関係が今後改善する可能性があるかどうかは、次の点で判断することができます。
【改善の可能性あり】
・「対話」が成立するか
・周囲と自分への対応に極端な差がないか
・配置や業務内容に改善の余地があるか
【改善の可能性が低い】
・私的感情の入った配置。業務内容が改善されない
・建設的な「対話」ができない
・周囲の人を巻き込む
こうした状態が長く続く場合、個人の工夫だけでは解消しにくい段階に入っている可能性があります。
上司といっても人間です。業務上の役割を果たそうとする人、部下と友だちのような関係を築こうとする人、様々なタイプがいます。タイプによっては、自分の努力だけでは状況が改善しにくいことも。
上司との関係性は、自分の業務や評価に直結するため、この先も同じ環境で働き続けるかを考えるうえで、重要な判断材料になります。
先輩

同じ業務を担当する先輩との関係は、日々の仕事の進めやすさに直結します。特に、質問や確認が欠かせない立場にある先輩ほど、態度や言動の積み重ねが負担になりやすいのが特徴です。
・機嫌次第で言うことが変わる
・他の人には丁寧なのに、自分には雑
・教え方が曖昧で、正解が分からない
先輩との関係の場合、「自分のせい」と受け止めてしまいがち。しかし、先輩の関わり方が原因で、仕事がうまく回らなくなっていることも少なくありません。
また、先輩との関係が良くない場合、質問すること自体が心理的なハードルになります。質問すれば嫌味を言われ、質問せずに進めれば「なぜ聞かなかったのか」と責められる。「どう動いても正解がない」と理不尽さを感じるようになります。
その結果、萎縮して判断力が落ち、ミスにつながることも。問題なくできた場合でも、進め方を非難されたりと、否定され続ける状況に陥りがちです。この状態が続くと、仕事への自信を失い、苦手意識だけが残ってしまいます。
小さな対処法
先輩との関係がスムーズにいかない場合は、「先輩とうまくやろう」と頑張りすぎず、業務上のミスが発生しないことを優先します。
・指示はメモで残す
・質問は要点を絞り、回数を減らす
・先輩の機嫌より、自分の業務を優先
先輩の顔色を伺うよりも、自分の業務にミスが出ないように行動します。
改善が見込めるかの判断基準
先輩との関係が今後改善する可能性があるか、次の点で判断できます。
【改善の可能性あり】
・業務質問に対して回答がある
・指摘内容が一貫している
・第三者が間に入ると態度が安定
【改善の可能性が低い】
・業務質問に曖昧な回答、無回答
・指摘内容に一貫性がない
・周囲の人を自分側に引き入れる
「改善の可能性が低い」場合、先輩の性格や関わり方が原因となっており、自分の努力だけで関係性を改善するのは難しい状況です。この先も同じ環境で働き続けるかを考えるうえで、重要な判断材料になります。
同僚

同僚との関係は、日々の業務連携や情報共有のしやすさに影響を与えます。特に、同じ業務を分担して進める同僚との関係がうまくいかないと、意思疎通が取れず、仕事でミスが起きやすくなります。
・必要な情報を共有してもらえない
・言った言わないのトラブルが起きる
・ミスが起きると責任を押し付けられる
このような状況が続くと、「私が悪いのかな」と思いがち。しかし、同僚側の関わり方によって、無駄なトラブルを抱える状況になっていることも少なくありません。
また、同僚との関係が良くない場合、声をかけること自体のハードルが上がります。「嫌そうな対応」「無視」など、業務上の会話をする以前の状況に陥っていることも。お互いに確認しないまま業務を進め、その結果ミスにつながっていきます。
小さな対処法
同僚との関係がスムーズにいかない場合は、「仲良くなろう」と頑張るよりも、業務を安定して進めることを優先します。
・やり取りはメモで記録する
・相手の態度よりも、業務の正確さを重視
同僚から好かれることを目指すのではなく、自分の業務を安定して進めることを目指します。
改善が見込めるかの判断基準
同僚との関係が今後改善する可能性があるかは、次の点で判断できます。
【改善の可能性あり】
・業務確認に対して、きちんと返答がある
・ミスが起きた際、責任を押し付けてこない
・第三者が入ると態度が安定する
【改善の可能性が低い】
・業務確認を無視する、または回答が曖昧
・責任転嫁が多い
・状況によって言うことが変わる
・周囲の人を自分側に引き込む
「改善の可能性が低い」に当てはまる場合、個人の工夫だけで関係性を立て直すのは難しい状態です。今後も同じ環境で働き続けられるかを考える際の、一つの判断材料になります。
後輩

後輩との関係の中で特に疲弊するのは、教わる側の後輩から甘く見られたり、見下した態度を取られるケースです。関係性が歪むと、後輩の業務を肩代わりさせられたり、対応を誤ればハラスメントを疑われることも。精神的にも業務面でも負荷が大きくなります。
・嫌な業務は、先輩にやってもらおう
・社内の影響力が弱い相手には強気
・理解できないのは先輩の教え方が悪い
・ミスはフォローしなかった先輩のせい
このような態度が続くと「私の教え方が悪いから、こんな態度に…?」と、自分に原因があるのでは…と考えてしまいます。しかし、後輩側の意識が原因となっていることも少なくありません。
「先輩がなんとかしてくれる」という意識が強くなると、フォローを超えた対応を求められ、自分本来の業務に支障が出てきます。後輩対応を優先しないと「助けてもらえなかった」と受け取られることも。業務の線引きが曖昧になり、精神的にも疲弊しやすくなります。
小さな対処法
後輩との関係が歪んでいる場合は、「良い先輩でいよう」と無理に抱え込まず、必要以上のフォローをしないようにします。
・やり方は教えるが過剰に手を出さない
・後輩と自分の業務を明確に分ける
後輩を変えようとするよりも、自分の業務に支障が出ないよう、フォローの範囲を決めて関わることを意識します。
改善が見込めるかの判断基準
後輩との関係が今後改善する可能性があるかは、次の点で判断できます。
【改善の可能性あり】
・自分の業務に責任を持つようになる
・責任転嫁をしなくなる
・上司に相談することで、後輩の態度が改まる
【改善の可能性が低い】
・やりたくない業務はやらない
・「先輩のせい」の考え方を続ける
・上司に相談しても、状況が改善しない
・周囲を巻き込み、有利な状況を作ろうとする
「改善の可能性が低い」に当てはまる場合、後輩個人の問題というより、関係性や環境そのものに課題がある可能性があります。今後もこの環境で働き続けるかを考える際の、判断材料として捉えることが大切です。
複数の関係性が悪くなった場合
上司・先輩・同僚・後輩、それぞれに共通する「改善の可能性が低い」サインがあります。それが、「第三者を巻き込み、自分に有利な状況を作ろうとする行動」です。この行動が見られると、関係性の悪化が一対一にとどまらず、複数の相手との間で同時に起こりやすくなります。そうなると、もはや個人間の相性の問題ではなく、自分を取り巻く職場の空気そのものが悪化している状態と言えます。

人間関係が「点」から「面」へ
人間関係は、点(特定の一人)→ 線(二人)→ 面(三人以上)へと広がるにつれて、改善の難易度が一気に上がります。一対一の関係であれば、調整で立て直せる余地があります。しかし複数が関わると、無意識のうちに攻撃性や同調圧力が強まり、個人の工夫でカバーできる段階を超えてしまうからです。次のような状態がいくつか重なっている場合、状況を好転させるのは難しくなります。
・複数の立場の人と、関係性が悪い
・「誰が言うか」で自分の扱いが決まる
・弁明や説明の機会が与えられない
・自分が常に「何も言えない側」
このように関係性が線や面の状態になると、人間関係を改善しようと工夫しても、報われにくくなります。
「頑張り続ける」だけが選択肢ではない

複数の関係性がこじれている場合、考えるべきなのは「自分の振る舞いを変えること」ではなく、環境を変える余地があるかどうかです。
・部署異動が可能か
・人事部やコンプライアンス部が機能しているか
ただし、小規模な職場では、部署異動をしても物理的な距離が近く、人間関係の構図がほとんど変わらないケースも少なくありません。その場合は、「やれることはやった」と判断し、次の選択肢を考えることも必要です。
咲ける場所を選ぶという判断

職場の人間関係は、上司・先輩・同僚・後輩の誰が相手であっても、本質は同じです。
大切なのは、「相手が変わってくれるか」ではなく、「自分の置かれた環境が改善に向かう余地があるか」という視点で考えること。人間関係を何とかしようと真面目に向き合う人ほど、「辞める」「距離を取る」といった判断を後回しにしがちです。ですが、「改善しない」と見極めることも、立派な選択のひとつです。
・今の環境で、やれることはやったか
・これ以上、自分だけが耐え続ける必要はあるのか
工夫してみても違和感が数カ月続いているのなら、自分の努力不足ではなく環境の影響が大きい可能性があります。
自分に問い直したときに出てきた答えを、大切にしてください。環境を選び直すことは、逃げではありません。それは、自分が咲ける場所に移るための手段です。咲けない場所で努力し続けるより、咲ける場所で、あなただけの花を咲かせましょう。


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