【本の感想】ネタバレなし「殺し屋の営業術」ミステリー×エンタメ

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「殺し屋」と「営業術」。決して交わらない、真逆の言葉をかけ合わせた不思議なタイトル。その1ページを開けば、あっという間に、最高のミステリーと爽快なエンタメ、そして少しの緊張感が混ざり合う世界へ連れて行かれます。「営業ノルマ」は2週間で2億円。ページをめくる手を止められず、一緒に駆け抜けて行きたくなる作品です。最狂の営業術に魅せられながら、命がけの物語を楽しんでみませんか?

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「殺し屋の営業術」は、野宮有さんによるミステリー小説。第71回江戸川乱歩賞を受賞し、王様のブランチBOOK大賞を受賞、2026年の本屋大賞第6位にランクインした話題作です。

「私を雇いませんか?この命に代えて、あなたを救って差し上げます」。アポ先で刺殺体を発見してしまった営業成績抜群のサラリーマン。自分も殺されそうになったときに発した一言で、死と隣り合わせの世界へ足を踏み入れることに。『殺人請負会社』の営業マンとして、2週間で2億円のノルマを達成できるのか?命がけのジェットコースターストーリーが開幕します。

営業術…というタイトルにも銘打っているように、実社会で使える心理効果も紹介されています。ですが、やはり一番の魅力は物語の内容です。圧倒的な空気感と文章の牽引力に飲み込まれ、気づけばページをめくる手が止まらず一気読みしてしまいました。誰かの物語を眺めているのではなく、自分も彼らと一緒に走っているような感覚をぜひ体験してみてください。

私たちの日常のすぐ横にある「殺しが日常になっている世界」が舞台。緊張感が張り詰める暗く沈んだような世界観を、殺人の商談や依頼達成の物騒な爽快感が包んでいます。その中で、ほんの少しの普通の会話が温かさを与え、恐怖が彩りと高揚を添えている作品です。

物語を読み終えたとき、感情は絶妙なバランスで着地します。映画のエンドロールが流れても、まだ席を立ちたくないときの、「あの感覚」。この感情体験や余韻を味わえる本は貴重です。疾走感あふれるストーリーに翻弄され、読後の余韻も含めて堪能してください。

テレビ番組の紹介をきっかけにこの本を知り、秋の夜長にちょっとずつ読もうかなと購入しましたが、結果は一気読み。毎晩の睡眠時間を削らない程度に読み進めていく予定でしたが、22時から読み始め、気がつけば1時過ぎ。「夢中」「沼」と表現がしっくりくるほど、没頭してしまいました。

昼の読書もいいですが、『殺し屋の営業術』は夜に読むと、いっそう魅力が増す一冊。黒い世界観と、夜の世界が呼応するように感じられるせいでしょうか。テレビを消し、音楽を止めれば、物語の中によりいっそう沈んでいきます。好奇心を刺激する文字を手繰り寄せながら、殺人請負会社のいく末を見届けてみませんか?

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