事務員=事務作業の契約で入社したら、会社の雑用もしれっと含まれていた。なにそれ…と、もやっとしたことはありませんか?事務員=事務兼雑用係と認識している会社は意外と多く、事務員に支払う給料が低い会社ほど、その認識が強いように見えます。
この記事は、10社以上で働いた私が経験した「事務員の扱われ方」をお伝えします。読み終える頃には、社内での扱われ方を客観的に知ることができ、自分に付けられている本当の値段が分かります。この2つの視点を手に入れ、今の状況を見極めるための物差しに使っていただけたらと思います。
この体験談で学べる3つのこと

10社以上で勤務して感じたことは、地方の中小企業ほど「雑用=女性事務員の仕事」になっていることが多い、ということです。求人票に雑用の有無を記載はほとんどなく、事務採用なら「やって当然」と認識されています。そんな地方の中小企業で働いて、学んだことは次の3つです。
・雑用は、女性事務員に偏る
・事務員が雑用係化している会社ほど低賃金
・始業前の雑用も労働時間
本社が「地方」の会社ほど、事務員に「お手伝いさん」としての仕事も求めがち。入る会社によって、天と地ほど異なる扱いをされるのが事務員です。この記事で自分の本当の時給を測る物差しを手に入れ、働く場所を考えるきっかけになればと思います。
雑用を「やる側」と「やってもらう側」
同じ会社の中には、雑用をやる側と、やってもらう側の人がいます。「やる側」になるのは、「女性×事務員」の条件を満たした人たち。性別や職種が違えばこの枠から逃れ、「やってもらう側」の席に座ることができます。事務員が雑用を担う理由は、以下のようなもの。
・事務員は一日中事務所にいるから
・気がついた人がやってくれると助かる
ですが、営業は社内にいても雑用を率先してやらないし、自分の仕事だと思っていない人は、目の前に雑用があっても永遠に気がつきません。コピー機の用紙切れ、トイレの紙の補充、流し台の洗い物。これらを放置して事務作業をしていると「なんでやらないの」と声をかけられることも。

事務員に雑用をさせる「理由」は必要ないのです。「雑用は事務員がするもの」と、社内の人たちが共通認識している以上、拒否権はありません。前任者から渡された事務作業のバトンと雑用のタスキを受け取ってしまった人は、その業務をまるごと引き継ぐしかないのです。重装備で笑顔で走り続けることが、その会社で生き残るための手段。想像より重すぎる「事務員伝統のタスキ」は、会社が事務員をどう扱っているかの象徴なのです。
日常の振る舞いの違い
雑用を「やる側」と「やってもらう側」では、日中のちょっとした行動に差があります。例えば次のようなものがあります。
・使ったコップを流し台に置きっぱなし
・トイレの使い方
・ゴミの捨て方

事務員は自分で使ったコップはサッと洗いますが、やってもらう側は、流し台に置いてどこかへ行ってしまい…コップがポツン。また、流し台で遭遇したときは「洗っておきますよ」と声をかけるのが当然で、「先に洗っていいですよ」と言うと大変驚かれます。
事務員はトイレを使う側でもあり、掃除する側でもあるため、比較的キレイに使います。トイレットペーパーが少なくなっていれば、気づいた人がすぐに補充。一方、飛び散り、汚れのこびりつき…。紙も「もう少しでなくなるよ」と伝えてくるだけ…。ゴミが溢れそうなゴミ箱に、さらに上からゴミを捨てていくことも。
事務員がこれらの処理を目の前でやったとしても、「やってもらう側」の目にその姿は映りません。やる側は、社内の名もなき仕事を一手に引き受け、空気のように会社を回し続けています。
事務仕事+雑用込みの手取り
地方に行けば行くほど、そして事務員が雑用係化している会社ほど、事務員の給料は低い印象です。その低い給料は、事務仕事+雑用作業の合計金額だと考えれば、なかなかの破格。もちろん悪い意味です。
他人が口を付けたコップを洗う、尿が飛び散った便器を拭く、汚れが付着した便器をブラシで擦る。他人の食べ残した生ゴミをまとめたり、流し台の排水溝のごみ取り、他もろもろ。これらの作業込みで提示される金額からは、「安く使い倒したい」という思いが透けて見えます。


使い倒したい、とまで行かなくとも「そのぐらい、いいじゃん」という、本当に軽い気持ち。「そこのお醤油取って」ぐらいの気軽さで、便器掃除を頼まれていますね。どんな思いがあるにせよ、その作業込みで支払われる給料が、会社があなたに付けた値段です。
会社ごとに違う「雑用」への報酬
「雑用」に対しては、会社ごとに捉え方が違います。捉え方は次のようなものです。
・仕事のひとつ
・ちょっとしたこと
・善意でやってくれてること
会社ごとに考え方の幅が広く、どの会社に所属するかで雑用に対価が払われるかが決まります。ここからは、私が働いてきた会社を5つのタイプに分け、事務員が雑用をすることに対する対価や考え方をまとめました。上にいくほど労働者にとって好条件、下にいくほど低くなっています。
| タイプ | 掃除 | 始業前の雑用 | 時間内の雑用 | 雑用への対価 |
|---|---|---|---|---|
| A | 外部業者 | なし | 事務員 | あり |
| B | 事務員 | なし | 事務員 | あり |
| C | 事務員 | あり | 事務員 | あり |
| D | 外部業者 | あり | 事務員 | なし |
| E | 事務員 | あり | 事務員 | なし |
【タイプA】社内やトイレの掃除、流し台のゴミ集めも、100%外部の専門業者に委託。事務員は「業務」としての雑用はこなしますが、「お手伝いさん」としての雑用は行いません。
【タイプB】掃除や雑用は、最初から「業務」のひとつとして組み込まれており、始業中にやればよい位置付け。契約内容に則った業務であり、規定どおりの給料が支払われます。
【タイプC】始業時間前に掃除と雑用が必須ですが、始業前の労働には対価が支払われる。早く来て働いた分だけ、給料にきちんと反映されます。
【タイプD】掃除は専門の方が行いますが、業務関連の雑用を始業前にやるよう求められます。早出は「自発的な行動」と位置づけられ、無償労働の扱いになります。
【タイプE】掃除も雑用も、事務員が始業前に行う必要があります。「やって当然」の空気のため無償労働。「お手伝いさん」としての役割を無償で求められる立ち位置です。
表の下に行くほど、「どうにか安く使い倒したい」という気持ちが透けて見えてきませんか?「無償で、女性事務員に」という価値観。会社の経費削減のしわ寄せが、一番断りにくい立場の人のところへ流れ着いている構造です。朝早くから働いているのに、手取りが少なく低賃金。タイプDとEの事務員は、時間と賃金が比例せず、会社のしわ寄せが直撃する立ち位置なのです。

事務員の本当の時給
始業前の雑用は「ちょっとしたこと」と認識されていることが多く、「事務なら無償でやって当たり前」という価値観の会社があるのは事実です。ですが、「それは違う」という価値観の会社があるのも、また事実。

ポットのお湯の準備。新聞を整える。洗い終わったコップを棚に戻す。始業前15分〜20分の労働を含めて時給を計算した場合、本当の時給は…。今の会社があなたに付けている値段は、本来のあなたの値段でしょうか?
もし他のタイプの会社で働けるとしても、今のタイプの会社で働きたいのか。今日ベッドで目をとじる前に、「私なら…」と考えてみてください。うとうとする頃に、深く考えずスッと出てきた答えが、自分本来の価値観です。その答えが、今の状況を推し量る物差しです。1年後、今より少しでもよい環境になるよう、手に入れた道具を使って考えてみてください。



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