【体験談】始業前に仕事をさせられる会社。同調圧力で嫌すぎる

始業時刻より数十分早く出社して、仕事を始めるのが暗黙の了解。でも、始業前残業代は支払われない。始業前の労働は賃金の対象のはずなのに、「社員が自主的にしたことだから…」と、うやむやにされる。こんな状況に「おかしくない?」と思ったことはありませんか?

結論として、違法性があるのは会社ですが、従業員一人が声をあげたところで、会社の体質はそう簡単には変わりません。

この記事では、「始業前のタダ働き」が当たり前とされる会社で働いていた私が、理不尽な始業前労働の実態をお伝えします。「普通」「みんなで力を合わせて」という言葉を隠れ蓑にしたおかしさが、今なら嫌というほど分かります。始業前のタダ働きを美徳とする会社で、1年後もその席に座っていたいのか、立ち止まって考えるきっかけになれば幸いです。

目次

始業前のタダ働きは、当たり前ではありません。ですが「その会社で働きたいのなら、嫌でも受け入れるしかない」のも事実です。中小企業でありがちなこの体験から学んだことを、次の3つにまとめました。

・その会社の普通=世間の普通ではない
・一度良い顔をすると、次もある
・どうにかすると、どうにかなると思われる

ここから先は、私が同調圧力に負けて受け入れていた毎朝の業務をお伝えします。その会社で働くために、受け入れるしかなかった理不尽な労働。一度「どうにか」してしまうと、この人たちなら「どうにかする」と、際限なく仕事が割り振られてきます。

「これが社会人の普通だから」と自分に言い聞かせている人がいたら、それは本当に「普通」なのか、考えながら読んでみてください。

始業は8時半。ですが、私を含む事務員は、毎朝7時20分には出社していました。1時間10分早く来て行うのは事務仕事…ではなく、倉庫の荷受け作業。7時半になるとトラックで大量の商品が届くため、それを受け取って、開梱して、倉庫の棚へ陳列。ついでに、朝一で配送に出る営業の荷物も準備して、積んでおく。どこからどう見ても、事務員の仕事じゃありませんでした。

もともと倉庫担当者は5人いましたが、ベテラン男性3名が退職。その結果、入社4ヶ月の新人女性2名だけという「無理じゃね?」という部署ができあがりました。しかし、まさかの人員補充なしで、倉庫業務はパンク状態。ようやく上が出した打開策は「朝は事務員がフォローに入る」でした。

突如決まった無償の肉体労働。それまでも、7時55分までに来るのが普通という雰囲気のなか働いていましたが、そこにきて7時20分の出社が決定。「みんなで力を合わせて」の合言葉のもと、事務員の始業前の肉体労働が「当たり前」になりました。

8時に倉庫作業が終わり事務所に戻ると、次は雑用が待っています。生ゴミ捨て、トイレ掃除、事務所掃除、その他もろもろ。事務員4人で分担して終わらせ、ようやく席に座れば8時10分。この席に座った瞬間を「待ってました!」と言わんばかりに、営業の方々が次々に仕事を依頼してくるのです。いや…始業前ですって、放っておいてよ。とは口に出せず、承諾するしかありません。「自分の席に座る=仕事を頼んでオッケーの合図」と思っている人は一定数見受けられますが、仲良くなれる気がしません。

さらに、始業前でも外線電話が鳴ります。その会社は、時間外アナウンス設定をしないことを誇っていました。「お客様の電話は全部取る」方針のため、始業前だろうと定時後だろうと、おかまいなしに鳴り続けます。営業は電話を取らないため(なんでだよ)、事務員が朝から晩まで取り続けていました。

こうして、1時間10分の無償労働を経て、ようやく始業時間(賃金発生タイム)に突入。その頃には、事務員の目が死んでいる。そんな朝を過ごしていました。

一度良い顔をすると、次もある

朝の倉庫作業が増えても、日中の事務作業を今までどおりにこなす事務員。しばらくすると、「夕方の出荷業務もフォローに入って」「毎日1人ずつ、ローテーションでいいから」という指示が出ました。夕方は電話対応や伝票発行業務、見積作成で手一杯。トイレに行くことすら困難な状況で、1人が倉庫へ行ってしまえば、次は事務が回らなくなります。

事務員たちの訴えは届かず、ローテーション倉庫当番が始まりました。やはり残った3人では回らず、電話対応や伝票発行など、「今この瞬間」対応が必要なものに限って処理。見積作成などは、定時後に作成していました。もちろん残業代は出ません。定時を1時間過ぎ、ヘトヘトになって見積作成をしている18時30分頃。「お疲れさまでした〜」と笑顔で帰っていく倉庫担当の新人2名を、とても複雑な心境で見送っていました。

定時後の見積作成は、すんなり進みません。「自分の席に座る=仕事を頼んでオッケーの合図」と思っている人。定時後もなり続ける外線電話。色々な妨害にあいながら、ようやく19時過ぎに退社です。私たちが踏ん張らないと!と必死に「どうにか」した結果、「どうにかなるもんなんだな〜」と、軽く受け止められ、それが普通になってしまいました。

この会社では、2ヶ月に一度、社員全員で棚卸しがありました。偶数月の最終土曜日に休日出勤をして、まさかの無償労働です。

事務員は棚卸しの資料(紙)を準備するため、朝4時に会社へ集合。在庫データを打ち出す機械が古く、資料が全部出るまでに非常に時間がかかるうえ、途中で紙切れを起こすやっかいな代物。途中で紙を足し、打ち出された資料を棚ごとにホチキス留め。手持ち無沙汰になる人もいましたが、毎回事務員全員で集合して作業していました。当番制にすると、万が一寝坊した場合、棚卸し作業が当日中に終わらなくなるためです。最悪な状況を避けるため、寝ぼけ眼で全員で集まっていました。

朝7時になると、所長や倉庫担当者が現れます。8時頃には営業がやってきて、8時30分から棚卸し開始。「事務は大変だよね〜」と他人事…まあ他人だけど。2年以上働きましたが、「全員で当番制にしよう」と提案してくれた人は、誰一人いませんでした。

こんなのおかしい!心の中で反発しても、言葉にはしませんでした。なぜなら「それが普通」という価値観の会社だったからです。郷に入りては郷に従え、という言葉の通り、そこで働きたいのなら、「その会社の普通」を受け入れるしかありません。掟に逆らえば村八分、退職ロードまっしぐらを意味します。

それに、「こんなのおかしい!」と感じるのは、不利益を被っている一部の人間に限られます。被害を免れている多数派は、負担が全員平等になると困るため、そのいびつな現状維持を望みます。一部が声をあげても多数派の声でかき消される。掟に従えない者は退職、従っている者と被害を逃れている者は在職。会社は「在職者」で構成されているため、誰も「おかしい」とは言わない構造になっています。

倉庫労働が始まってから1年ほど経過した頃、その日は7時30分に到着してしまいました。「遅れてすみません」と挨拶すると、新人から返ってきたのは「先輩、遅いですよー!」の一言でした。

(え…遅くないよね?業務外の無償労働で1時間も早く来たんですけど)

ちょっとイラッとしました。これは遅刻なの?遅刻してないのに?私、事務職契約だよ。手取り11万円で、始業前手当も残業代も払われてない。7時20分〜19時の労働で…時給520円?私、520円で会社から求められすぎじゃない?一度頭に浮かんでしまうと、簡単に消すことはできません。その数日後、決定的なことが起こりました。

溜まった不満は噴出する

月末の夕方16時、一ヶ月で一番慌ただしい時間帯です。外線電話は鳴り、営業も数字を達成するため必死で注文を取り、事務員が伝票発行で売上を確定させる。売上が一気に上がるゴールデンタイムです。月末最終日は夕方の倉庫手伝いはしないという決まりでしたが、私の席に倉庫から内線がかかってきました。

「先輩、倉庫忙しいんで手伝ってくださいよー!」

事務員の中で一番下っ端の私にかけてきたな…と一瞬で察しました。「いや、月末は絶対無理だから」と断りましたが、新人は引きません。

「倉庫仕事も、先輩の大事な仕事ですよー!」

(ふざけるなー!)

予想外の言葉に、一気に怒りがこみあげました。
「私の仕事は事務、あなたの仕事は倉庫です。朝は業務外の無償労働、夕方は業務外対応で自分の仕事は定時後にしています。立場を勘違いしてはいけません。月末は営業所の成績を決める大事な日ですから、夕方は手伝えません。ヘルプが必要なら上司に内線しましょう」という内容を、感情を込めた荒っぽい言葉でお伝えしました。

口に出した瞬間「そう言えば…そうだよな」と、自分の口から出た言葉に、妙に納得。会社が何もしない尻拭いを、無償で押し付けられていることに気が付きました。私は時給520円で何をやってるんだろう…。今まで我慢してきた他の事情もあり、2年半でこの会社での勤務は幕を下ろしました。

ほんの5分や10分でも、始業前の無償労働を「おかしくない?」と感じたのであれば、その感覚を大切にしてください。会社の普通は、必ずしも世間の普通ではありません。その会社を一歩出れば、非常識と言われるものかもしれません。始業前の労働がない会社や、労働に対してきちんと賃金を支払う会社もあります。タダ働きを受け入れることが、社会人になるということではありません。

始業前の労働時間も含めて、自分の「本当の時給」を計算してみてください。その時給を見て、何を思いますか?独自の掟がある会社で生きていくかどうかを決めるのは、あなた自身です。外の世界にも「空いている席」はいくらでもあります。小さな村のような世界で一生を終えるのか、違う村へ移住するのか。自分と相性のよい「普通の会社」とは何なのか、今日寝る前に紙に書き出してみましょう。それがあなたの「普通」です。

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