事務員は他にもいるのに、社内の雑用を自分ばかりやっている気がする。同じ事務なのに不公平。なんで自分ばかり…と、モヤモヤしたことはありませんか?雑用が特定の人に偏るのは、職場の構造の問題です。
この記事では、10社以上で働いてきた私が、「特定の人に雑用が偏る職場の構造」をお伝えします。読み終える頃には、「なぜ自分ばかり」の理由が分かり、明日からの考え方が整理できます。真面目で周囲に気を使ってしまうタイプの方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
なぜ雑用が自分ばかりに偏るのか
雑用が特定の人に偏る職場は、仕事の構造や構成メンバーに「そうなる理由」があります。大きくわけると次のようなものです。
・「気づいた人がやる」ルール
・一番社歴が浅い事務員がやるルール
・雑用から逃げるメンバーがいる
さらに、これらの理由と非常に相性が悪い「性格」があります。真面目であることや、周囲に気を使う性格です。気づいたからやっておこう、誰かがやらないと周囲が困るから。持ち前の長所を発揮した結果、いつの間にか自分ばかり搾取されていることも。事務員みんなでやっていた雑用は、いつしか「あの人がやるのが当然」な仕事に収まっていきます。

仕事の構造・メンバーの性格・自分の性格が、一番悪い形で噛み合ってしまうと、「特定の人に雑用が偏る職場の構造」が完成します。ここから先は、それぞれの要因が抱える問題について紐解いてみましょう。
「気づいた人がやる」ルール
「気づいた人がやる」ルール。真面目な人や、周囲に気を使うタイプの人にとっては、非常に危険なルールです。この問題点は、「気づくのはいつも同じ人」ということ。真面目な人はこのルールを守り、気を使うタイプの人は周囲をよく見ているため、真っ先に動いてしまう。いつの間にか「あの人がやるのが当然」と認識され、主にこの2タイプが雑用係として固定されてしまいます。「気づいた人がやる」ルールの本質は、善意の皮を被った搾取システムです。

他の事務員は「私が気づく前に、ふーともさんがやっちゃうから」と、気づかないフリで堂々と回避。時間が経てば経つほど、雑用をやらないことへの罪悪感は薄れ「あの人がやるのが当然」と、思うようになります。気づくタイプの人に雑用を押し付けるルールが、「気づいた人がやる」ルールです。
「気づいた人がやる」<「当番制」
「気づいた人がやる」ルールで負担が偏っている場合は、当番制に変更できないか提案してみるのも一つの手段。全員に順番が回るため、負担を均等化できる公平なシステムです。
ただ、「当番制にしませんか」と提案すると、他の事務員の反感を買ったり、却下されることがあるのも現実です。意図せず負担が偏っていたのであれば当番制は受け入れられやすく、ルールを利用して意図的に避けていたのであれば、現状維持を求める声があがります。
そのルールが善意として適用されているのか、悪用されているのか。答えを知りたければ当番制を提案してみるのが有効です。提案が却下される職場であれば、気配りが意図的に搾取される構造になっています。
一番社歴が浅い事務員がやるルール
一番社歴が浅い事務員が雑用をやるのは当然。会社でよく聞くこのルールは、半分正しく、半分は問題があります。できることが少ないうちは、雑用をこなしながら、仕事や社内の仕組みを覚えていく。新人が成長するには欠かせない業務の一つですが、そこから先が問題です。

「一番社歴が浅い=新人」であればこのルールに違和感はありませんが、新人ではなくなったとしても「一番社歴が浅い事務員」からは抜け出すことができません。新しい事務員が入社しない限り、雑用担当から逃れられない闇深いルールです。
新人はいつ入社するのか?
新人が入社すれば、雑用のタスキを渡すことができる。ですが、中小企業では、事務員の誰かが退職しない限り人員補充はありません。その職場が働きやすいと感じている先輩方は、退職するでしょうか?事務全員で社歴を重ねていけば、誰も入社せず。いつまでも自分だけが、ルールによって苦しむことになります。
新人が入社しても雑用係をやめられない
先輩の退職によって、待望の新人が入ってきた。これでようやく雑用を渡せる…そう思っていたのに、雑用係を継続することになる場合があります。主に次の2つのパターンです。
①いつの間にか「あの人の仕事」と認識されている
②後輩が愛されキャラ
①は、雑用をやり続けているうちに、周囲が「あの人の仕事」と認識してしまうパターンです。後輩が入社する頃には「一番社歴が浅い事務員がやるルール」は自然消滅しており、「あの人の仕事」にすり替わっています。引き継ぎをしようとしても「今さらいいんじゃない?」と、外野である先輩方が制止。周囲の感覚でルールが変えられてしまうことがあります。
②は、後輩が愛されキャラという、予想外パターンです。コミュ力高めのタイプであれば、先輩や上司から非常に可愛がられます。雑用の引き継ぎをしようとすると「後輩さんは仕事覚えてる途中だから、雑用はフォローしてあげて」と、先輩方が制止。自分が新人の頃とは違う待遇に、憤りを覚えることも。
後輩が入るまでの辛抱…と、ひたむきに続けていた人にとっては青天の霹靂。なんとなく決まっていたルールは、恩恵を受けている側の都合によって、簡単に覆ります。一番社歴が浅い立場から抜け出しても、雑用係は請け負ったまま。その扱いは妥当なのでしょうか。

雑用から逃げるメンバーがいる
先にあげたような職場ルールはなく、「雑用は事務員全員でやる」と決まっている場合でも、問題が浮上することがあります。堂々と雑用を拒否するのではなく、絶妙な行動で回避し続けるメンバーがいる場合です。

・それっぽい理由をあげて回避
・雑用が2択の場合、マシなほうを素早く奪取
・一緒にやった感を出す(実際はやってない)
・「今やろうと思ってた」連発
絶妙に小細工しているのにバレている。雑用はやりたくないけど、周囲から嫌われたくない。必死に取り繕っている姿に、モヤる気持ちは募るばかり。精神的にも消耗させられるため、メンバーに紛れ込むと厄介な存在です。仕事として指摘をするか、当番制を提案するか、もしくは気づいていないフリを続けてあげるか。単純に「雑用に偏りがある」だけよりも、対処に頭を悩ませます。
それっぽい理由をあげて回避
・いま別の作業頼まれてて…
・今日はそっちに手が回らなくて…
別の仕事があるならしょうがない…と思ってたけど、そういえば、この人いつもやらない。気づいてしまうと、胸の中に黒い感情が広がります。
雑用を頼まれる雰囲気を察すると、今まで取り掛かってなかった仕事を、突然机の上に広げ出す。パソコンのキーボードを急に打ち始め「ガチャガチャ…ターン!」の音が妙に大きい。「どうしよう、終わらない…」と、周囲に聞こえる音量で独り言を呟き始める。
「できない理由」を自ら生み出し、「理由があるからしょうがないよね」という着地点を目指す作戦です。本当に忙しい状況と、パフォーマンスしているときでは、雰囲気が全然違うため、見ている側はすぐに分かります。それっぽい理由をあげて回避するタイプには、当番制で強制的に順番を回す方法が効果的です。
雑用が2択の場合、マシなほうを素早く奪取
雑用は、同じタイミングで2つ発生することもあります。「私こっちやるね」と、率先して爽やかに引き受けていきますが、選んでいるのはいつも楽な方。「負荷が少なく、人に見られて感じのいいほう」を一瞬で選別し、さらっていきます。

・流し台の生ゴミ処理or来客対応
・ゴミ捨てor郵便物を投函しに行く
流し台の生ゴミ処理は汚い。ゴミ捨ては、ゴミ集めから始めないといけないので面倒。このような判断を一瞬で行い、有利な方を持っていくため、残るのはいつも貧乏くじです。
突発的に発生する雑用には、順番を決める当番制は使えません。仕組みで対処できないため、「素早く奪う人」が得をして、遠慮している人が損をし続けます。この場合の対処法は、遠慮をやめること。奪われそうになったら、「そっち私がやるよ」と声を出し、いつも自分が譲っている一歩を、たまには相手に譲ってもらいましょう。
一緒にやった感を出す(実際はやってない)
雑用を避けているのに、最後の仕上げの瞬間に現れて、「一緒にやった感」を出すアピール上手なタイプもいます。黙々と処理をした人の労力に便乗し、すべてをさらっていきます。

処理していた雑用が仕上げの段になると、急に現れて「手伝うよ」と声をかけてくる人。こちらの作業時間は20分で、相手は2分。終わった瞬間には「終わったねー」と、さも二人でやり遂げたような笑顔。そして、「疲れたでしょ?私、配ってくるね」と完成した書類を取り上げ、営業の人たちに配り始めます。「お疲れ様でーす」と言いながら渡す彼女。この光景だけ見れば、処理してくれたのは彼女だろうと、誰もが思ってしまいます。
気分は、まるで人魚姫。王子を助けたのは人魚姫なのに、命の恩人だと信じられたのは、あとで浜辺に現れた別の娘。職場では、成果が出た瞬間に「見える場所」にいた人が評価されます。最後の仕上げ部分は、簡単に手放してはいけません。仕上げの段階で「手伝うよ」と言われても、断っていいのです。自分の努力や評価は、自分のもの。相手の踏み台になる必要なんてないのです。
「今やろうと思ってた」連発
コピー用紙の補充や伝票整理など、雑用が目の前にあってもスルー。こちらが手をつけた瞬間、ワンテンポ遅れて動き、「今やろうと思ってた。ごめんね」を連発するタイプがいます。相手から「大丈夫だよ」という言質を取ったうえで、雑用を放棄します。
外線電話のコール音が鳴っても出ない。こちらが受話器に手を伸ばすと、相手もソロっと固定電話に手を伸ばす。受話器を取ると、コンマ何秒か遅れて相手も受話器を持ち上げる。先につながるのは、早く取ったこちら。相手は「今出ようとしたんだけど、遅くてごめんね」という空気を、漂わせます。毎度のことになると、意図的な行動だとバレバレ。やりたくないけど、それを周囲に悟られたくない。わざと遅れて動くことで、「やろうとは思ってる」とアピールしています。

たまには、「今やろうと思ってた。ごめんね」に、「じゃあ、お願いしていい?」と返しましょう。雑用と気持ちの負担を、あなただけが受け止める必要はありません。本来はみんなでやる雑用ならば、相手にお願いしてもいいのです。
真面目な人が損をしないために
仕事の雑用が自分に偏っていると感じている人は、周囲に利用されている自分の長所を、少しだけ封印してみてください。いいように扱われる長所は次のようなものです。
・真面目
・周囲に気を使える
・相手に譲れる
・職場で我を出さない
周囲に対して少しだけズボラになる。「私が」「私は」と声に出す。雑用をはやるけど、ほんの少し緩める。今までとはちょっと変えることで、搾取されっぱなしのポジションから抜け出すことができます。雑用が一箇所に集まる場合、それは構造の問題です。長所が悪用される構造の中に、いつまでも黙って収まらなくていいのです。

上に書いたような長所は、本来はすごく価値のあることです。搾取されたり、他人の踏み台に使われるようなものではありません。今の環境は、この長所を活かしてくれるのか、みんなで利用し続けるのか。職場やメンバーによって、雑用への取り組み方はまったく違います。提案や対処法で改善することもあれば、現状維持のままであることも。今日寝る前に、うちの職場はどっちだろう…と、一度だけ考えてみてください。改善の可能性があれば、まずは明日、小さな一歩から始めてみましょう。



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