始業30分前には会社に来るのが普通だよ。上司や先輩から教わる、社会人としての常識の一つですが、何故か腑に落ちない。そう思ったことはありませんか?始業30分前出勤の理由は、「屁理屈」であることが多く、作業内容も「無報酬でそれやるの?」と思えることも少なくないため、腑に落ちなくて当然だと私は思っています。
この記事は、複数の会社を経験した私が、「30分前出勤は当たり前ではない」と感じた理由を整理してお伝えします。上司や先輩が語る「早く出勤する理由とやら」は正当なものでしょうか?読み終える頃には、腑に落ちなかった理由が分かり、自分の判断基準を持つことができるようになります。自分は何時に出勤するのか、自信を持って答えられるきっかけになればと思います。
始業の30分前に出勤する理由とは?
始業の30分前出勤は当たり前で、普通のこと。社会人として当然。早く来なくてはならない理由として、一般的には次のようなことを伝えられます。
・準備も仕事のうち
・余裕を持った行動が社会人としての常識
・早く来る人が大事な仕事を任される
・ギリギリに来る人は何も考えてない
・5分前行動。学生時代に習ったよね?
・新人は早く来て覚えるもの
・私が若い頃は先輩より後に来るなんて考えられなかった
正論のようで、何か腑に落ちないこれらの理由。新人時代の私は「そういうものなんだ」と行動していましたが、今の私は10分前に出勤しています。これらは本当に「理由」なのでしょうか?社会人歴20年以上経った今、一つずつ開けて確認してみようと思います。

30分前に出勤する理由の中身

上司や先輩が語る「30分前出勤をする理由」はバリエーションが豊富ですが、本音はたった一つ。「俺より遅く来てはいけない」です。さだまさしさんの関白宣言を、リアルオフィスに持ち込んで実行しているのだと、私は思っています。とはいえ本音はそのまま口に出せないので、もっともらしい理由で「俺より早く来い」と伝えてくる。ここから先は、その理由を一つずつ確認していきましょう。
①準備も仕事のうち

「準備も仕事のうち」は、よく言われる言葉です。仕事であれば賃金が発生するはずですが、その準備時間は無償労働の場合が多いのではないでしょうか。始業前の労働にも早出手当(残業代)が支払われるなら、この理屈も通用します。きちんと準備が必要な業務ならば、早出手当を支払うか、そこも含めた始業時間にするのは会社の役目。「仕事のうち」という言葉で、無償労働を、心構えの問題にすり替えています。
②余裕を持った行動が社会人としての常識
「余裕を持った行動が社会人としての常識」は、意見としては真っ当。ですが、この言葉は出勤時間に対して使うものではないと私は思います。「余裕を持った行動」が指すのは、たとえばこういう場面です。
・資料などの提出期限
・他社や他部署との会議
・一日、月間、年間の業務スケジュール
あくまでも、業務時間の仕事の段取りに対して使う言葉ではないでしょうか?無償労働を推奨するために使うものではありません。
③早く来る人が大事な仕事を任される
「早く来る人が大事な仕事を任される」は、ポジティブなアドバイスに聞こえます。ですが、出勤時間の順に大事な仕事が割り当てられるのでしょうか?始業前に偶然取った外線電話で大口契約が決まるのでしょうか?始業前に電話対応の必要がある会社ですか?
それがきっかけで大きな仕事や契約をつかんだ人に、心から「おめでとう」と言えるのなら、30分前じゃなくていいと思います。そこは会社で、学校の運動会ではありません。一等賞が良くて、最下位は残念というわけでもない。始業時間はみんな同じです。
④ギリギリに来る人は何も考えてない
「ギリギリに来る人は何も考えてない」は、ただの悪口です。スタート(始業)の瞬間からトップスピードなんて、どんな人でも無理です。車やロケットでも無理。通勤時間で、頭と体を社会人モードに切り替えて(温めて)、始業直後はトップスピードに移行するための時間です。この移行時間を始業前に持ってきて、「開始と同時にトップスピードを出せ」というのは、事前に無償労働しておけと同義。手当(朝残業代)が支払われるなら、早く出勤する人も少しは増えるのではないでしょうか。
⑤5分前行動。学生時代に習ったよね?

「5分前行動。学生時代に習ったよね?」と言われたら、習った…と一瞬納得しかけてしまいます。ですが、学生時代によく言われた5分前行動とは、「遅刻しないように」という意味。授業の5分前には、席で自習してなさいという意味ではありません。社会で言えば「始業時間や会議に遅れない」ことができていれば、5分前行動は十分に活かせています。先生たちも、「社会に出たらタダ働きしなさい」という意味で子どもたちに伝えていないはずです、絶対に。
⑥新人は早く来て覚えるもの
「新人は早く来て覚えるもの」も、よく聞く言葉ですが、早く来て何を覚えるのでしょうか?業務であれば就業時間に覚えたいし…何を覚えるの?全員の机拭きや掃除をしながら、30分前出勤した人と雑談で交流?
実は「新人は早く来て〜」には、中身がありません。要は「私も新人の頃は早く来てたんだから、あなたも来るのが普通でしょ」ということ。自分が辛かった経験を、下の世代にも味わわせる「不幸の継承イベント」です。たちが悪いのは、言っている本人に自覚がないこと。「私も最初は嫌だったけど、早く来たことで学べたことが〜」と、御高説を賜ることも。下の世代が同じようにやってくれないと、自分の気持ちが収まらないだけです。普通の会社であれば、就業時間内に仕事を教えてくれます。
⑦私が若い頃は先輩より後に来るなんて考えられなかった

「私が若い頃は、先輩より後に来るなんて考えられなかった」は、思い出話に見せかけたただの嫌味です。昔の人は大変だったんだ…と思ったら、それで終了でいいと私は思います。無償労働の正当な理由にはなりませんし、早く来てもその先輩が早出手当を支払ってくれるわけでもありません。昔はカセットテープ、今はネットで音楽。時代は変わります。平成初期の理不尽なバトンを、令和のあなたが受け取る必要は、どこにもありません。
始業前に来て、事務の私がしていた仕事
上に書いたありがたい理由によって、始業前出勤していた事務員時代の私。各会社で差はあれど、実際にやっていた作業は次のようなことが多かったです。
・社内の掃除、ゴミ捨て
・流し台の生ゴミ処理
・ポットにお湯を準備
・トイレ掃除
・新聞の整理
・上司へのお茶出し
・営業から依頼される見積書作成
・始業前に鳴る外線電話対応

上司や先輩が語り継いでくる理由とは結びつかない、事務員が押し付けられがちな雑用ばかり。見積書作成や電話対応に至っては、始業前なのに業務開始です。
「早起きは三文の徳」。従業員が30分タダ働きしてくれれば、「会社は三文の得」。会社にとって都合がいいから早く来てほしい、それだけのことでした。

一ヶ月当たりの早出の総額はいくら?
一日たった30分程度ですが、一ヶ月分で計算すると、かなりの労働時間・金額になります。時給を1,000円、月の出勤日を20日として計算した場合は次のとおり。
■1ヶ月
30分×20日=10時間タダ働き
1,000円×10時間=10,000円

毎月必ず無償労働デーがある計算です。一ヶ月でもインパクトがありますが、年間にすると目も当てられない数字です。人件費は削りたい。でも労働力はほしい。そんな会社の価値観が透けて見えてしまう計算結果です。あなたの数字を当てはめて、「本当の時給」を計算してみてください。
「当たり前」は誰かが作った空気
「30分前出勤が当たり前」は、その会社の中でつくられた空気です。「社会人なら…新人なら…」と、新しい人が入るたびに語り継がれ、世代を超えて受け継がれ…令和の時代へ流れ着いた代物です。始業時刻に間に合い、きちんと仕事をこなしていれば、無償労働を会社にプレゼントする必要はありません。
自分のやるべき・やりたい仕事があれば、早く行ってやればいい。同調圧力に、うまく断る理由を用意する必要はありません。本音が「俺より早く来い」なので、筋の通った理由を並べても納得しないからです。

空気は会社によって違います。今いる場所の空気が合わないのなら、別の場所で息をすればいい。早出手当を払うから早く来てほしいという会社もあれば、うちは出せないから始業時間ちょうどに来て、という会社もあります。どの空気が合うかは、人によって違います。自分に合った空気のほうが、その場所に長く居続けられるのではないでしょうか?明日から早出をスパッとやめることは難しくても、深呼吸をして、今の自分についてゆっくり考えてみてください。



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