それも事務の仕事?さすがにちょっと…と思って断ったら、微妙な空気。どこまでやれば普通なの?会社で雑用を頼まれるたび、モヤっとしていませんか?事務員が頼まれる雑用の中には、「仕事としての雑用」と「雑用の皮を被ったパシリ業務」が混在しており、曖昧な企業ほど混同しがち。パシリ業務に困惑するのは、人として当然です。
この記事では、10社以上での勤務経験・社会人歴20年以上の私が、仕事とパシリの境界線をお伝えします。読み終える頃には、自分が何に対してモヤッとしていたのかが分かり、「仕事として、どこまでやるか」を自分で判断できるようになります。「必要とされている証拠」「頼られるうちが華」、その助言すら腑に落ちないと感じてしまう方こそ、肩の力を抜いて、ぜひ最後まで読んでみてください。
この記事でわかること
事務員の仕事に「雑用」が含まれていることは承知している。全部が嫌じゃないけど、モヤッとする雑用がある。この記事では、そんな「モヤッ」がどこからきているのか分解・整理し、分かったことを3つにまとめました。
・雑用には、仕事とパシリの2種類がある
・すべてを許容することが成長ではない
・容認するのは会社の価値観
会社でパシリ業務が平然と行われるのは、頼む人それぞれの問題もありますが、根っこは、会社の価値観がそれを許しているからです。困惑するのは、わがままでも、未熟だからでもありません。業務範囲の仕事を頼まれることと、軽んじられることはまったく別物。自分自身の判断基準を決めて、今の状況を見つめてみましょう。
仕事とパシリの違い
事務員が依頼される「雑用」と呼ばれる業務の中身は、大きく2つに分けられます。
①業務遂行のために必要な補助業務
②個人の都合を肩代わりする用事
①は、仕事としての雑用です。会議資料の印刷、会議室の準備、来客対応、備品管理、コピー用紙の補充などが該当します。組織や業務全体を円滑に進めるために必要な補助作業で、個人の「快適」ではなく、会社や部署の利益につながる仕事です。
②は、パシリ的な雑用です。他人の使用済コップを洗う、他人のコピーを代わりに取る、コーヒーを淹れて社員に配膳する、個人的な買い物を頼まれるなどが該当します。本来はその人自身がやるべきことを、個人の「快適さ」のために代わりする。簡単言えば、パシリ扱いです。

①は仕事ですが、②に対しては眉をひそめる人が多いのではないでしょうか。事務員は「会社の事務員」であり、「特定個人の使用人」ではありません。組織や業務全体を円滑に進めるための作業なのか、特定個人のための行動なのか。「雑用」とひとくくりにされる作業群ですが、目的はまったく異なるものなのです。
この雑用は仕事?パシリ?
事務員が頼まれる雑用は大変多く、小さいものも含めると数え切れないほどあります。よくある雑用を、仕事とパシリの2つに分けるとどうなる仕分けてみました。
| 雑用の名前 | 判定 |
|---|---|
| 共用備品の管理・補充 | ○ 仕事 |
| 会議資料の印刷・会議室の準備 | ○ 仕事 |
| 来客対応 | ○ 仕事 |
| トイレ掃除 | ○ 仕事 |
| 流し台の生ゴミ掃除 | ○ 仕事 |
| 上司や他人へのコーヒー配膳 | × パシリ |
| 上司や先輩の私的な買い物代行 | × パシリ |
| 他の人が使ったコップを洗う | × パシリ |
| 他人のコピーを取らされる | × パシリ |
「○」は業務や組織を円滑に進める仕事であり、職場全体の維持が目的。「×」は、特定個人が「楽をするための」の行為です。会社と事務契約をしているという意識が強い人ほど、特定個人を快適にする雑用に不快感を覚えるのではないでしょうか。
ですが、この「仕事と判定された雑用」に対しても、まだモヤッとする…。それは、「仕事に分類された雑用」に、もう一つの論点が隠されているからです。
なぜ事務員だけが「ソレ」をやるのか?
仕事としての雑用は、事務員がやるのが当然。職場全体からそう認識されていても、中には「本当に事務員だけが行うのが妥当か?」と疑問に思えるものも含まれています。
・トイレ掃除
・流し台の生ゴミ掃除
これらを筆頭に、「なぜ事務員だけがソレをやるの?」と思わずにはいられない”仕事”。役割分担の公平性への疑問が残る雑用は、仕事だと言われても腑に落ちないものです。男性は男子トイレ、女性は女子トイレ、それぞれローテーション組んで掃除すればよくない?流し台は全員使うし、全員で順番に掃除じゃないの?と。

ですが、会社で作りあげられた慣習は、そう簡単には変わりません。トイレ掃除も生ゴミ掃除も事務員がするのが普通と思っている会社は、余程のことがない限り、これからもその価値観で歩んでいきます。その雑用は仕事かパシリか、役割分担は公平かなんて、会社には些末なことに過ぎないのでしょう。

事務員同士の「雑用の相談」が噛み合わない原因
「事務員は雑用をどこまでやらなきゃいけないの?」
事務員同士なら、この気持ちを分かりあえる…と思って相談しても、その答えが腑に落ちないことも。
・頼られるうちが華
・必要とされている証拠
・気持ちよく引き受けよう
言っていることは分かるのに、「それじゃない感」が拭えない。これは、互いの論点がズレていることが原因です。相談側は「妥当性についての質問」をしていますが、回答側は「事務員がやる」と受け入れたうえで「どう考えれば自分が気持ちよく働けるか」という心構えの回答をしています。妥当性(構造)に対して、心構えの回答。同じ話をしているようで、違う話をしている。質問と回答がズレているため、なんか違う…と違和感が残るのです。
| 相談側(現状に不満) | 回答側(現状を受入済) | |
|---|---|---|
| 論点 | ・その業務は本当に事務の仕事? ・役割分担として妥当か? | ・気持ちよく雑用をするためにはどうすればいいか? |
| ゴール | ・不要な業務はなくしたい ・職場環境の維持は全員平等に ・小間使いじゃないと理解してほしい | ・自分のストレスを減らす ・人間関係を円滑にする ・職場で居場所を作る |
「妥当性についての質問」をする場合、相談側は現状に不満を抱いています。パシリ業務への不満、事務員だけがやる雑用(仕事)の妥当性。しかし、相談する本人も言語化できていないため「雑用」と漠然とした言葉で表現してしまいます。
一方、相談を受ける側が「雑用(パシリや事務員だけの雑用)を受け入れている人」であれば、少しでも楽な気持ちで取り組めるよう助言をします。様々な助言がありますが、簡単に言えば「自分の考え方を変えよう」ということです。

雑用が苦になっている派と容認派では、前提・論点・ゴールのすべてが違います。「雑用」という同じテーマで話をしても、違うことを話しているため、お互いに納得のいく着地点には到達できないのです。
自分と会社の相性は、どうなのか
事務職を選択している多くの人は、業務範囲内の雑用は想定内で、想定外の雑用に困惑しています。パシリや、事務員だけが担当する妥当性を欠いた雑用を、疑問に思うのは当然です。怠惰な感情で「雑用をやりたくない」と主張しているのではなく、自分の仕事について真剣に考えたからこそ出てきた疑問です。
「事務なんだから、雑用やるのは当たり前」。この、前提の揃っていない「雑用」は、本来は誰がやるべき仕事なのか。給与のために仕事として割り切るか、この金額で周囲にへりくだるのは無理と思うか、自分で決めていいのです。どちらを選択したとしても、「あなたの一ヶ月に対する対価」は、おそらく変わりません。

「仕事とパシリ」「妥当性」の視点を持てば、事務員だから…という言葉に流されて疲弊することがなくなります。使用人のような振る舞いを求められる会社もあれば、業務内で収まる場所もあります。自分と会社の相性はどうなのか、一度考えてみませんか。ほんの小さな価値観のズレが、大きな働きにくさに繋がっていることもあるのですから。



コメント