転職活動の末、小さな事務所に入社。社長と事務員3名(既存50代+新人50代+私)、古い平屋戸建てを使った小規模な会社でした。面接時に「この会社、おかしいところはないか?」と細かくチェックしたつもりでしたが、まさかトイレがないとは…。こんな基本的な環境すら整ってない会社があるなんて、全く想像していませんでした。
昔の私と同じように、小さな会社に転職しようとしている人へ。想像の斜め上をいく、この衝撃的な体験談を紹介します。
この会社にトイレはない
衝撃的な事実を知ったのは、入社初日。
この会社にトイレはない。
厳密に言うと、ないのではなく、「数年前に壊れたっきり、修理していないので使えない」ということでした。説明された事実に対して、理解が追いつきません。
だってさ、普通の会社ってトイレあるじゃん?
学校でも、家でも、トイレあるじゃん?
公園にも、飲食店にも…あるじゃん?
え? 何ここ、ないの? トイレ…?
既存の事務員からは、「トイレ行きたくなったら、数十メートル先のスーパーにあるトイレを使えばいいですよ」という謎の指示。余計に、わけがわかりませんでした。

スーパーの…トイレを使う…だと?
「この会社とそのスーパーって、何か繋がりがあるんですか?たとえば社長の親戚が経営してるとか?」精一杯の可能性を探ってみましたが、「違うよ」とあっさり回答。
ということは、何の関係もないスーパーのトイレを、ここの従業員が毎度勝手に使用してるってこと…?さすがにそれ、ダメじゃない?初日からと愕然する事態でした。
尿意は我慢できない…
スーパーのトイレを会社のトイレ代わりに使うなんて…無理。そんな気持ちからトイレを我慢していましたが、やはり昼頃になると膀胱は限界。戦友である膀胱と共にスーパーへ足を運び、トイレを使用。何も買わずに帰るのは気が引けたので、お茶を1本購入して会社へ帰還しました。
しかし、トイレは1回行けば終わりじゃありません。午後にもまた行きたくなり、結局もう一度スーパーへ。私だけでなく、他の事務員も何度かスーパーに足を運んでいました。
いやこれ、絶対ダメなやつじゃん。会社選び、間違えたー…詰んだ。初日から、とてつもない絶望感でした。
トイレがない会社で働く
絶望感いっぱいでしたが、翌日以降も給料のために出社し続けました。水分補給を控えて、トイレに行く回数を減らす。体には絶対によくない対策でしたが、トイレ回数を減らすためにはこの対策しかありませんでした。
お昼休憩の時間にはスーパーへ行き、「お茶を買うついでにトイレを使う人」のフリ。午後は「おやつを買うついでにトイレを使う人」のフリ。そんな小芝居を続けながら、トイレを借り続けました。これを、雨の日も風の日も続けます。トイレは1日2回まで。たま〜に3回。誰に言われたわけでもありませんが、これが私の限界ラインでした。
トイレ問題のせいで、スーパーに行くたびにお茶やお菓子を購入。1日300円ほどの出費でしたが、低所得の事務員には地味に痛い出費となっていました。
生理の日は…やっぱ無理!退職!
しかし、この「1日2〜3回ルール」が通用しなくなる時期があります。そう、女性特有の「あの日」です。特に初日〜3日目は、1日2〜3回のトイレではとてもじゃないけど全然足りません。スーパーに行く回数が、普段の倍以上に増えました。
…もう絶対、スーパーの人にバレてるじゃん。「あの人、うちのトイレを毎日めっちゃ使ってるよね」みたいな感じで、社内で情報共有されてたら…。考えるだけで、恥ずかしすぎて顔から火が出そうでした。

いやもう無理。トイレがない会社で働くなんて、やっぱりどう考えても無理だし!あと何年もこんな働き方ができるわけないし、したくもない!無理だ!入社から、まだ数週間。でも「これ以上は絶対に無理。来月も再来月も生理は来るし!もう無理!」と限界がきてしまい、退職を決意。
帰宅後すぐに退職届を記入し、翌日には社長へ提出しました。試用期間中だったこともあり、「じゃあ今日で最後でいいよ」と、あっさり退職決定。事務員の方々に挨拶をして、そのまま帰宅となりました。
他の2名の事務員は、なぜトイレがない会社で平然と働けるんだろう…?と疑問に思いましたが、環境が合う・合わないって、本当に人それぞれですね。私は、トイレがない会社で今後も働き続けるという選択肢は、どうしても選べませんでした。
さいごに
職場環境はピンからキリまでありますが、どんな環境が合うかは人それぞれです。事前にすべての事情がわかれば理想的ですが、実際には、中に入って初めてわかることも少なくありません。環境や人間関係が自分に合わないと気づいたとき、我慢して続けるのも、スパッと辞めるのも、どちらも間違いではありません。
大切なのは、自分との対話を続けることです。自己分析を重ねることで、自分の中での優先順位や「どこまでなら許容できるか」が明確に。その結果、迷ったときの判断基準がスムーズになります。
転職活動中だけでなく、定期的に自己分析をして、自分に合う環境で働くための準備をしておきましょう。未来の自分をラクにするために、今できることから始めてみてください。


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