職場がタバコ臭い。それだけで辞めたいと思ってしまう自分は、甘いのかな…。と悩んだことはありませんか?分煙されているはずなのに、どこかに残るタバコの臭い。髪や服にまとわりつく臭い。吸わない人にとって、タバコの臭いは「気にしすぎ」では済まない問題です。職場環境の中でも、「におい」の問題は比較的軽く扱われがち。ですが当事者にとっては、出勤をためらうほどのストレスになることもあります。
過去、同じような状況に直面した結果、私は入社二日目にして退職をしました。周囲からは、「たったそれだけで?」と思われたかもしれません。でも私は、あのとき辞めたことを後悔していません。この記事では、
・タバコの臭いで辞めるのは甘えなのか
・職場環境が心身に与える影響
を、体験をもとに整理しています。読み終わるころには、「職場環境と自分の体質には相性がある」という視点から、自分と今の職場環境の違和感を見つめ直せるはずです。
この体験で学んだ3つのこと

私は入社二日目に、タバコの臭いがどうしても合わず、退職することになりました。当時は、「この程度で退職するのは甘えなのかも」と何度も考えました。ですが、体質と職場環境には相性があると、今は思っています。
この体験から得たことは、次の3つです。
① 違和感は、だいたい当たる
② 体質と職場環境には相性がある
③ 他人と自分の基準は、違っていい
ここから先は、その体験を時系列で振り返ります。同じような違和感を抱えている方がいたら、自分の基準はどこにあるのか、考えながら読んでみてください。
違和感から目をそらした
当時の私は無職で、早く次を決めなければ…と、正直かなり焦っていました。だからこそ、「まあ大丈夫だろう」と自分に言い聞かせてしまったのです。面接は近くの喫茶店で行われ、終盤に社長からこう聞かれました。
「うちの社員はタバコを吸うけど、大丈夫?」
正直に言えば、私はタバコのにおいが苦手です。家族に喫煙者もおらず、日常的に煙のある環境にいたこともありません。
私「みなさん、どこで吸うんですか?」
社「喫煙所だよ。そこまでにおいはしないし、問題ないと思うよ」
少し違和感を覚えましたが、「それなら大丈夫です」と答えてしまいました。喫煙所なら問題ないはず…大丈夫だろう。自分に言い聞かせ、一瞬よぎった考えは口に出さず、違和感から目をそらしました。普通のマンションの一室が事務所なのに、どこに喫煙所があるのか…と。

本当は確認してもよかったはずです。けれど、「そこまでにおいはしない・問題ない」という言葉で自分の考えを打ち消し、「大丈夫」だと自分に言い聞かせました。このときの「大丈夫だろう」が、大丈夫ではなかったと分かるのは、入社初日。あのとき、社長の言葉を借りて、本当は気づいていた自分の違和感からは目をそらしていました。
入社初日、想像を超えたタバコ臭
入社初日。初めてマンションの一室にある事務所を訪れました。ドアを開けた瞬間、思わず息を止めました。空気が重い。鼻に刺さるようなタバコのにおい。

「ここ喫煙所じゃないよね?」本気でそう思ったほどです。しかしそこは、間違いなく事務所の入口でした。玄関、廊下と進むたびに、においはさらに濃くなっていきます。そして仕事部屋のドアを開けた瞬間、視界がうっすら白く見えました。
部屋の中央に集められた机。男性社員の方々が、自分の席でタバコを吸いながら仕事をしていました。あのとき面接で聞いた「喫煙所で吸う」という言葉。私が見ている光景とは、まったく異なるものでした。
タバコ臭の中で…お昼ご飯
事務員の方に仕事を教わりながらも、タバコのにおいが気になってしかたがありませんでした。自分の体質に合わないにおいを嗅ぎ続けているうちに、頭が重くなっていきます。
昼休憩の時間になっても、状況は変わりませんでした。「お昼ご飯は自席で食べてくださいね」と言われたのです。つまり、この空間で食べるということでした。
人生で初めて、強いタバコ臭の中でお弁当を食べました。口に入れているのはおかずのはずなのに、感じるのは煙の味。私は、喫煙席での食事が本当に苦手です。どんなに美味しい料理でも、煙の味しかしなくなる。食後に「一本いい?」と聞かれるだけで、内心はかなりつらい…。そんな私にとって、この空間で毎日お昼を食べる未来は、どうしても想像できませんでした。
喫煙所はどこにあるのか
昼休憩後、銀行へ行く業務のため、前任者のBさんと外へ出ました。外の空気を吸った瞬間、肺の奥がふっと軽くなる感覚がありました。そして同時に、自分の吐いた息が強烈にタバコ臭いことに気づきます。髪も、スーツも、カバンも、すべてににおいが染みついていました。

「ここは…無理かもしれない」と、そのときはっきり思いました。入社からわずか4時間。すでに心の中では「辞めたい」が膨らみはじめていました。外出中、思い切ってBさんに聞いてみました。
私「タバコ臭、つらくないですか?」
B「家族が吸うから、私は気にならないよ」
私「喫煙所があるって聞いていたんですけど…」
B「ああ、キッチンの換気扇の下のことね。でも結局、みんな席で吸ってるよ。こっちに煙がかからないようにしてくれるし」
喫煙者や喫煙に慣れている人にとっての「問題ない」と、非喫煙者が感じる「問題ない」は、基準そのものが違うのだと、このとき気が付きました。この差は、個人の努力で埋められるものではありません。

私にとっては「少し気になる」どころではなく、一発アウトの環境。この環境で続けられるのは、喫煙者か、においに寛容な人なのかもしれない…。そう感じました。
家に帰っても、タバコ臭に苦しめられる
初日ということもあり定時で退社。事務所を出た瞬間、自分から漂うタバコ臭が、昼よりも強くなっていることに気づきました。外の空気に触れたことで、余計に自分の臭いがはっきりしたのです。帰宅すると、家族から「タバコ臭い!」と言われ、すぐにお風呂に入るよう促されました。何度も歯を磨き、口臭ケア液も使いましたが、それでも完全には消えず…。家に帰っても、ずっとタバコ臭に包まれていました。

身体は洗えましたが、スーツとカバンは簡単に洗えるものではありません。部屋にタバコの臭いが移るのが嫌で、そっとベランダに出しました。
寝る前になっても臭いは消えず、頭痛も続いていました。仕事内容は嫌ではないし、社員の方たちも悪い人ではありません。でも、男性社員は自席で一日中タバコを吸っている。あの会社で働く限り、私は毎日この問題に直面することになります。せっかく採用されたのに…また無職になるのは怖い。布団の中で何度も考え続け、最終的に出た結論は「どう考えても、ここは無理」でした。私には、この職場環境は合っていなかったのです。
翌朝は社長の部屋へ直行し、そのまま退職を伝えました。まさか二日目で退職することになるとは思いもしませんでした。ですがこれは、面接時の違和感を「大丈夫だろう」と押し込めた結果でもあります。ほんの小さな違和感でも、自分の基準に反するものなら、見過ごさないほうがいい。
違和感を見過ごさないことの大切さを、身をもって知りました。
無理は甘えじゃない
「タバコの臭いくらいで辞めるなんて甘いのかな?」と、自分を責める必要はありません。においは、ただの好みではなく、体質や感覚に深く関わる問題です。職場選びは、仕事内容や給与だけで決まるものではありません。人間関係や音、においにも相性があります。他の人にとっては問題ない環境でも、自分にとっては耐えられないことがある。それは甘えではなく、感覚の違いです。もし今、「これくらい我慢すべきなのかな」という違和感があるのなら、その感覚があなたの基準です。

違和感を見過ごさなかったからこそ、私は今の職場に巡り合えました。あの一日は、遠回りではなく、自分の基準を知るための時間だったのだと思っています。職場環境と体質には相性があります。あなたの感じている「無理」は甘えではなく、あなたに合う環境に移動するための羅針盤かもしれません。



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