家族経営は本当にやばいのか。ネットで「家族経営」と検索すると、「やばい・頭おかしい」という言葉が並び、不安になったことはありませんか?
結論から言うと、私が関わったことのある家族経営は、だいたいやばかったです。その一例として、入社初日に「採用はなかったことに」と告げられたことがあります。そこにあったのは、ルールよりも身内の判断が優先される構造。その構造は、働く側の人生を簡単に揺らします。
この記事では、入社初日に採用が消えた体験を通して、「家族経営がやばい」と言われる背景や、この体験からの学びについて整理しています。家族経営への転職を考えているのなら、違和感を見逃さないための視点として読んでいただければと思います。
この体験で学んだ3つのこと

この出来事を通して、小さな違和感は決して見過ごしていいものではないと実感しました。振り返ってみると、そこにはいくつかの気づきがありました。
①初期の違和感はあたる
②法的な立場・相談先がある
③転職は選ばれる場であり、選ぶ場でもある
当時の私は何も知らず、悔しさを抱えて泣くことしかできませんでした。ですが、これらを知っていれば、きっと向き合い方は違っていたと思います。私のこの体験が、「納得できる職場選び」のきっかけになれば嬉しいです。
転職活動がうまくいかない
収入がないなかでの転職活動は、想像以上に焦るものです。会社を退職し、無職の状態で受けた面接でした。女性役員との面接は和やかに進み、話の中で家族経営の企業だと知りました。「採用なら3日以内に連絡で、不採用なら履歴書を返送しますね」と言われ、面接は終了。
けれど3日経っても連絡は来ず、履歴書も戻らない。不採用だったのだろうと気持ちを切り替え、また転職活動を始めました。

そんな面接から2週間後、突然電話がかかってきました。
「まだ決まってなければ、うちで働きませんか?」
やっと決まった、という安心感。この連絡を受けて、他社の選考もすべて辞退しました。今思えば「約束した期日を大幅に過ぎて採用の連絡が来た」ことは、些細な出来事ではありますが、会社側の約束に対する曖昧な姿勢が表れていたのだと思います。
採用は…取り消されていた
入社初日。会社へ向かい、入口で挨拶をした瞬間、事務所の空気がざわつきました。奥から出てきたのは、面接をしてくれた女性役員。そして、想像もしていなかった一言を告げられました。
「別の人を採用することにしたから、今回のことはなかったことにしてね」

話を聞くと、採用枠は1名。本命の方に連絡をしていたものの返事待ちの状態だったため、保険として私にも採用連絡をしたとのこと。その後、本命の方から承諾を得たため、私の採用は取り消し。そして、その連絡をするのを忘れていた…という説明でした。
私は、採用の連絡をもらった時点で、他社の選考をすべて辞退していました。自分の手で、可能性を閉じてしまったことになります。「ごめんなさいね」と言われても、「そんなこともありますよね」と受け止められる状況ではありませんでした。
家族経営との感覚の違い
どうにかならないか尋ねましたが、「それは無理よ」と一蹴されました。納得できない気持ちを伝えると、女性役員はこう続けました。「入社前からこんなに揉めたんだから、一緒に働く関係にはなれないじゃない?」
まるで、喧嘩両成敗よ、とでも言うような口ぶり。求職者にとっては生活に直結する出来事でも、彼女にとっては「今日のお弁当に箸を入れ忘れちゃってた、ごめんね」くらいの温度だったのだと思います。その感覚の軽さに衝撃を受けたのを覚えています。
「この子が帰らないから困っちゃって」と周囲に話す声を聞き、私は恥ずかしさと悔しさをこらえて会社を後にしました。家に帰り、悔しさで泣くことしかできませんでした。
採用取り消しは、企業側の都合では通らない
採用取り消しは、法律上は「解雇」に準じる扱いになります。企業が一方的に取り消すには、客観的で合理的な理由が必要です。「本命の人が承諾したから」という企業側の都合だけでは、正当な理由とは言いにくいのが実情です。

また、「採用です」と明確に意思表示をした時点で、労働契約が成立したと判断される可能性があります。だからこそ企業側は、本来であれば「正式決定ではなく最終確認中」など、誤解のない伝え方をする必要があります。採用と伝え、後から「なかったことにする」のは、企業として極めてリスクの高い対応です。
もし同じような状況に置かれた場合は、労働基準監督署や労働局へ相談することができます。弁護士に相談する方法もありますが、費用や時間の負担を考えると、まずは労働局が現実的な選択肢でしょう。企業への助言や指導を含め、具体的な対応について相談できます。
当時の私はこうした知識がなく、悔しさを抱えたまま終わりました。しかし、相談先があると知っているだけでも、立場はまったく違ってきます。
さいごに

本当にやばい家族経営とは、身内の判断がルールよりも優先される会社のことだと私は思います。家族経営という形そのものが問題なのではありません。問題なのは、他人と契約で働く場に、家族内の感覚がそのまま持ち込まれていることです。採用という人生に直結する出来事さえ、身内の判断ひとつでひっくり返る。そのズレに、私は一番の怖さを感じました。そうした会社は、従業員の人生を平気で軽く扱います。

転職は、企業に選ばれる場でもありますが、同時にこちらが選ぶ場でもあります。もし「なんかおかしくない?」と感じる瞬間があったなら、その感覚を大切にしてください。あのとき、泣くことしかできなかった私のようにならなくていいように。違和感を言葉にしながら、納得できる職場を選んでほしいと思います。



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